Interview with Kimiko YAMADA
山田 貴実子さんに聞く、パリとお菓子のお話
- お菓子づくりに興味を持ったのは、いつからですか?
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お菓子づくりに興味を持ったのは幼少のころだと思います。
小さいころからお菓子を食べるのは好きでした。そのころ、家にオーブンはなく、母はホットケーキやドーナッツ、ミルクプリンなど、シンプルなお菓子を工夫して、おやつを作ってくれていました。小さいころから、母は私を銀座やデパートなどによく連れて行ってくれたので、パフェやケーキなど美味しいものを食べる機会は多かったかもしれません。
お菓子づくりと言えるかわかりませんが、ひとりで留守番をしなくてならなかったときに、母を見よう見まねで、ひとりでお菓子づくりにはまっていたことがあります。結局、レシピもなく火を使ったわけではないので、うまくは出来ませんでしたが、そのときにお菓子を作るって難しいなと思った記憶があります。
その後は、かなり経ってからですが、またお菓子づくりに興味を持ちはじめました。きっかけは20歳のときに観た映画「麗しのサブリナ」です。主役のオードリー・ヘップバーンが、パリのル・コルドン・ブルーで料理を勉強するというシーンがあるのですが、そのシーンを観てから、調理製菓学校って楽しそうと興味を持ちました。 - パリに行こうと思ったきっかけは?
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お菓子づくりに興味を持っていたので、お菓子学校のル・コルドン・ブルー東京校へ入学したことです。
日本校からフランス校へ編入され、パリのお菓子屋さんで研修をされたという、学校の先輩のお話が聞けたので、私もパリのコルドン・ブルーへ行きたいと思ったのがきっかけです。 - パリでは、どんな毎日を送られていましたか?
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フランスでは、パリを中心に9年半ほど住んでいました。
私のパリ生活は、ほとんどパティスリーで働いていたので、毎朝、始発の電車で仕事に行き、帰りは早くても夕方過ぎという生活でした。最初のころは、家に帰ると疲れてしまい、食事してすぐに寝てしまうような毎日でした。そんな生活にも慣れてくると、次第に友達と食事をしたり、映画を観たり、美術館に行ったり。観光で小旅行に出かけるなどして、過ごしました。 - パリのどんなところが好きですか?
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パリの好きなところは月並みですが、古い街並、建物、食べ物、お菓子……とにかく何でも好きです。私はパリのモダンな部分よりも、古くても洗練された可愛らしいところが大好きです。
- パリのさまざまな製菓店で経験を積まれていますが、思い出深いお店やパティシエの方はいらっしゃいますか?
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パリを本拠地に活躍されている、青木貞治氏を尊敬しております。
青木シェフは、とても几帳面な方だと思いますが、その反面とても気さくで、部下や周りの人に気を遣い、皆をいつも笑わせようとされるような方でした。お菓子に真剣に取り組まれているときなどは、下っ端の私は声もかけられない感じでした。青木シェフから学ばせていただいたことは、すべて私の宝物です。
フランス人シェフも、どの方も素晴らしい方ばかりでした。憧れのような対象でいうと、ピエール・エルメ氏でしょうか。
私がラデュレで研修させていただいたときに、ピエール・エルメ氏はグランシェフとしていらっしゃいました。厨房に立つシェフは、皆さん豪快なイメージもありますが、エルメ シェフは、とても物静かなイメージです。お菓子屋さんでは、毎朝お店に出すお菓子を用意しますが、そのとき、エルメ シェフも作業されてましたが、研修生の私にも指導していただけました。とても良い思い出です。
思い出に残っているお菓子屋さんは、ラデュレのマドレーヌ店です。マドレーヌ寺院近くにあるラデュレ本店は、お店も素敵ですが、裏と地下にある厨房も古くて、いかにもフランスの厨房といった感じなんです。
いまは分かりませんが、そのころ従業員の食事はビュッフェ式で、食事だけでなく、おそらく前日に残ったケーキなど、いろいろ出てきていたので、食べ過ぎてしまった記憶があります。クリスマス後には、従業員全員が呼ばれて、豪華なビュッフェが用意され、シャンパンもサービスされ、エルメさんからひとこと挨拶がありました。フランスだなあと感激してしまいました。 - 山田さんがお菓子づくりで、大事にしていることは?
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お菓子づくりでは相手を思い、笑顔になっていただけることを意識しています。
- 山田さんがいちばん好きなお菓子は何ですか?
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好きなお菓子を選ぶのは難しいですが、マカロンはフランス時代のいちばん思い出深いお菓子です。
- 山田さんにとって、フランス菓子の魅力は?
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どの国のお菓子も、それぞれの国の特徴が出ていると思います。フランス菓子は、どれをとってもフランスらしい可愛さがあり、見た目も味と同様に重要視するフランスらしいところが魅力だと思います。
